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タイムマシーンがあれば名古屋市でも妖怪をウォッチできそうです。

鹽竈神社の無三殿さん

痔のあるお尻

鹽竈神社の無三殿さん 写真

名古屋市中川区にある鹽竈神社にはカッパの神様が奉られていますが、カッパは 妖怪の中でも有名な中堅どころですし想像上の生物と考えられています。 ツチノコと同じくUMAのカテゴリーに分類されることもありますが、一般的には 妖怪という解釈で広く知られており全国的に目撃談も多数あります。 なので名古屋だけの妖怪とするのはいささか無理のある話ですが、この神社は ただの目撃談ではなく奉られているので紹介に値すると判断しました。 悪さをする妖怪ならこんな立場(神)にならなかったでしょうから、名古屋市の 鹽竈神社の河童はきっといい妖怪だと評判だったのでしょう。 無三殿の名前は後述しますが地名からきており、本名やアダナではなく人間が勝手 に本人の許可を得ずに付けたようです。 どんなご利益があるのか、一部の方には朗報ですがなんと痔を治してくれるそうです。 療法について詳しく記述されている書物は残されていませんが、どこで治療するか は分かっており、カッパの棲家とされる川の近く、橋で行われるそうです。 歯医者さんのように受付や予約の必要はなく、橋からお尻を出せばそれだけでよく、 撫でたり抜いたりして痔の苦しみから解放してくれるのです。 その際お尻の露出は不可避だと思われますが、今それをしたら通報される危険も あるので近所の方や通行人の理解を得てから実行に移すべきかもしれません。 江戸時代なら橋の上でお尻を丸出しにしてもよかったのかもしれませんが、現代の 名古屋市でサラリーマンやOLが歩き回っている中お尻を出すのは危険です。 特に男性はやめておきましょう。



無三殿大神

イボ痔だろうとキレ痔だろうと妖力で治療してくれる無三殿さんは、無三殿大神 として中川区の鹽竈神社に奉られるカッパの神様です。 手術をして治療してくれる病院ではなく、飲み薬や麻酔注射も一切使わずに痔を 治すのでもないから妖力や神通力で奇跡を起していたのでしょう。 カッパといえばキュウリ大好き以外にも尻に手を差し伸べて尻子玉を抜くことでも 有名で、お尻に関連した話題が豊富な妖怪です。 その繋がりでお尻の不幸、痔にも縁のあることにされたのかもしれません。 記録は残されていませんが名古屋市内には痔でお悩みの方が多かったのでしょうか。 無三殿さんの名前はどこからきたのか、それを説明するには当時の町の様子を解説 することから始めるしかありません。 今ある山王橋の近くで笈瀬川と中川が合流する地点があり、そのそばには立派な お屋敷に住む松平図書康久さんが暮らしていました。 この武将が何を成してきたかはあまりカッパに関係がないので省きますが、法名は 無三で、屋敷も無三屋敷と呼ばれていたそうです。 名物屋敷があればそれが地名に反映されるのは時間の問題で、この付近が無三殿 と呼ばれるようになるのに時間はさほどかからなかったそうです。 無三殿にいるカッパだから無三殿さん、これが無三殿大神の名前の由来で、地名 からきているとも言えますし人名からとも言えます。 なんにせよここで暮らす河童が悪さをせずに人々の痔を治してくれたことには 感謝したほうがいいでしょう。



河童の宝庫笈瀬川

無三殿さんがいたのは笈瀬川と中川の合流地点に近い場所だとされていますが、 笈瀬川の上流でも河童が出没した話があります。 同じ流れの川ですので下流で発見されたのなら上流でも発見される可能性はあり、 このことはより無三殿さんの信憑性を増す事例として注目すべきでしょう。 ある河川のごく限られた狭い範囲でしか目撃者がいないのなら河童が一匹そこに 住んでいただけ、あるいは見間違いや作り話と思われても仕方がありません。 生態系が解明されているわけではないのですが、家族も持たずにただ一匹の河童が 生き延びることは容易ではなさそうですし、繁殖して増えた一族がその河川で生活 していると考えたほうが妥当な推測です。 神とされるほどの河童がいたのならその地域に血縁関係のある河童が数匹いないと ストーリーとしては不自然でしょう。 孤独を好みそうな妖怪ならともかく、人間の子供と遊ぶ姿も頭に浮かべやすい河童 は集団生活に向いていそうな気がするのです。 なので河童が一匹いれば河童の一家がそこらへんにいるのでは、と予想されるのです。 「小治田之真清水」という文献によると武士の河合小伝冶さんが笈瀬川に飛び込む カッパを見ているそうですが、その下流に住む無三殿さんと同一河童かもしれないし 兄弟かもしれない、そう考えてしまいます。 ただの親子かもしれないけれど、笈瀬川一帯で目撃談があるのでただのご近所さんの 可能性もありますね。



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