この妖怪のビジュアルは名前に違わぬ白さが際立つ、そして大きな背丈が特徴だと 言われていますし目撃談でもそのように語られています。 どれだけノッポかというと身長8尺もあったそうで、メートル法であらわすと約 2.4メートルのビッグサイズです。 1.8メートル位ならちょっと大きな色白の人を妖怪と見間違えた可能性も残り、 信憑性も薄れるのですが8尺では反論できません。 さすがに1メートル60センチの色白の力士を身の丈8尺の妖怪と勘違いすることは なさそうですし、多少大袈裟に語っているとしても並々ならぬ長身の持ち主だと いうことは聞く者にもフワフワとですが伝わってきます。 ノッポさもさることながら驚きの白さもこの妖怪の名前の由来となっており、人間 のように肌色ではないことが強調されています。 ただしまじまじと観察した目撃情報はなく、この「白(ホワイト)」も肌色なのか 着物の色なのか、はたまた褌の色なのかは断定されていません。 恐ろしく大きくて白かった、そう印象付ける容姿だったことしかわからず、どこが 白かったのかは未だに謎のベールに包まれたままです。 まあお召し物が白かっただけならわざわざそのことを強く語り継ぐこともなさそう ですし、肌が常人よりも白かったのか、心が白かったのではないでしょうか。 妖怪は夜に活動しそうな種族ですし、日焼けとは無縁だから肌が白いとしても全く おかしくはありませんけどね。
江戸時代の鸚鵡籠中記によると名古屋城の東にある橦木町辺りで白入道は目撃 されたそうで、遭遇者は三日三晩寝込んでしまったそうです。 その原因は妖気のせいなのか驚きのあまり心に大ダメージを受けたせいなのかは 知りませんが、不意を突かれて入道タイプの妖怪に会ってしまったら冷静では いられないでしょうし、この遭遇者の心が弱かったのかはわかりません。 並みの精神力を持つ成人男性でも、たとえ名の通った武士でも、いかめしい姿の 白入道が自分の後ろにいたら動揺は隠し切れませんし、通常業務を遂行できる 精神状態に回復するまでは数日寝込んでみようかな、となるかもしれません。 今回の目撃者は下男、つまり召使なのでそんなに肝の据わった男ではないかも しれませんが、寝込んじゃう男だからな、と見くびるのは浅はかです。 当時の状況ですがその一帯には武家屋敷が何軒もあり、自分のご主人様が知り合いの 屋敷から帰るので迎えにいった時に遭遇したとのことです。 約束の時間に遅刻してしまったら「途中で妖怪に出くわしてさ、逃げてたら遅く なっちゃった」と言い訳する子供もいるので、それに類似した作り話かもしれない のですが、下男がそんな嘘をついて後からばれたら大変な目に遭います。 なので真実を語っていると信じたい話で、名古屋の人間は善良だと思いますし私は この下男の目撃談を支持します。 白入道の存在も、その身の丈が8尺だというのも、白色だったことも全部信じます。
白い入道は全国的にも珍しいのですが、ノーマルタイプの大入道なら日本各地で 昔から目撃談が数多くあります。 たまたま名古屋にいた大入道だけが白っぽい肌をしていたのか、他の入道と同種 だけど白い印象を与えすぎたのかは分かっていません。 同一人物が複数の大入道と短期間で次々と遭遇すれば比較できるでしょうが、 そんなに恵まれた下男や村人は都合よく見つかっておりません。 今なら引越しをすることも簡単で、荷物が少なければハイエースのようなワゴンに 積んで誰にも内緒で一人でこっそり住居を移すこともできるし、少し多いだけなら 軽貨物便を使えば低料金でお手軽な引越しも可能です。 でも江戸時代の農民や武士は根無し草のように全国をふらふら引越しまくることは しなかったので、各地で大入道を目撃する機会も少なかったはずです。 (行商人ならワンチャンスありそうですが) 白入道と名古屋市以外で目撃された大入道には共通点も多く、登場シーンは妖怪 だけあって夜、そして背後からやってくるようです。 背丈が高いことも共通していますが、これがなければただの人っぽいし背丈について の記述は妥当かと思われます。 普通サイズの入道なら僧侶も同然で、出会っても妖怪だとは気付きません。 あとは目撃者が寝込むのもほぼ共通しています。 中には出会って13日後に亡くなったという話もあり、厄病神に近いと唱える説も あるようです。